行住坐臥(今月の禅語です)

「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」という教えがあります。「歩く、立つ、坐る、寝る」という四つの動作を通して、日常のあらゆる営みを表した言葉です。言い換えるなら、日常全ての振る舞いが修行(心を調えること)につながっているということです。つまり、坐禅をしたりお経を読んだりすることだけが修行なのではなく、私たちの日々の行動一つひとつに、心のありようが現れるということでもあります。
先日、久しぶりに入った飲食店で食事を終え、会計を済ませたときのことです。お店の店長さんがカウンター越しに「ありがとうございました! またどうぞ!」と、満面の笑顔で声をかけてくれました。そのとき、その一言が不思議なほど私の心に響いたのです。 もちろん、言葉自体が特別だったわけでも、仕草が大げさだったわけでもありません。ただ、その一言の背景に「本当にそう思っている」という想いがまっすぐに伝わってきたからなのでしょう。心と言葉が一致したとき、その言葉は聴く人の心へまっすぐに届きます。人の誠実さとは、特別な行いではなく、こうした日常の一コマにこそ宿るものなのだと、改めて気づかされた瞬間でした。「行住坐臥」は教えてくれます。日常の一言、日常の接し方、日常の行動一つひとつを丁寧にするだけで、私たちの毎日は驚くほど柔らかく温かなものになるということを。
宮崎誠道 合掌

